相続税申告を考慮して財産を相続するか放棄するかは早めに検討しましょう。
- 2017/09/28
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財産を相続する場合も放棄する場合もそれぞれ手続きが必要です。
被相続人が残した財産には、現金や預貯金、株式などの有価証券、不動産や自動車などプラスの財産や、住宅ローンの借入金や医療費の未払金などマイナスの財産があります。
相続財産を調査して探し出し、それらを確定することができたら全体を整理し、相続することでどのうような影響があるかをしっかり見極め、相続するかしないかを判断する必要があります。
相続財産の額や負債の有無によって、亡くなった人の財産を引き継ぐ権利がある人や、引き継ぐことになる相続人が取るべき手続きが変わってきます。
なかには期限が決められている手続きもありますので、被相続人の死後、相続が開始したらすみやかに確認しましょう。
プラスの財産やマイナスの財産とは何か?知っておきたい遺産相続の基本知識についてはコチラをご覧ください。
法定相続人は財産を相続するか、放棄するかを選択することができます。
相続財産(プラスの財産)が少なく、負債(マイナスの財産)の方が大きいため相続したくない、または関与したくないという場合は、相続放棄の手続きをすることができます。
相続放棄の手続きを行った場合、法律上その相続人は相続財産を受け取る権利を失うことになり、最初から相続人ではなかったとされます。
放棄する財産には、マイナスの財産だけでなく被相続人の相続財産(遺産)すべてが対象となりますので、当然プラスの財産も相続することができなくなります。
なお、相続放棄が認められた後は、いかなる理由があったとしても相続放棄を撤回することはできません。
これは民法で定められていますので、相続放棄の手続きを行う前には気づかなかった、あるいは知らなかった高価な財産があったとしても、後になって「やっぱり相続したい」と相続放棄を撤回にして欲しいと言ってもそれは認められません。
相続が開始されてから相続放棄できるまでの期限は3か月間です。
相続するか放棄するかを検討する猶予は十分ありますので、相続財産(遺産)の調査はしっかりと行いましょう。
相続放棄手続きの方法は、亡くなった方(被相続人)の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所へ、相続放棄申述書などの書類を提出して行います。
また、相続放棄をする前にもうひとつしっかりと考えておきたいことがあります。
それは、自分が相続放棄をすることで親兄弟に大きな影響を及ぼす可能性があるということです。
相続には、必ず相続人となる配偶者、第1順位の子、第2順位となる直系尊属(父母や祖父母など)、第3順位の兄弟姉妹というように、法定相続人の間に相続する順位が定められています。
相続放棄することで相続人が順位に従って変更されますので、相続放棄をすると新たな相続人、その相続人が相続放棄をしたら、さらに新たな相続人へと相続権利は移り変わっていくことになります。
優先順位にあたる相続人が相続放棄をした事実を知らずに、次の相続人となる親族がマイナスの財産を相続するようなことがあっては大変ですよね。
今後の親族関係に影響を及ぼす要因にもなりますので、トラブルや揉め事を避けるためにも、相続人は「相続放棄することを考えている」という意思を伝えなければいけないということをしっかり理解しておく必要がありますね。
相続した財産によっては税務署に申告する必要があるかもしれません。
相続税は誰にでもかかる税金というわけではありません。
亡くなった方(被相続人)が残した財産が一定の金額(基礎控除額)を超える場合などに発生する税金です。
基礎控除額を超える財産であった場合には、被相続人が死亡したときの住所地を所轄する税務署へ、10か月以内に相続税の申告書を作成後、提出・申告して納税する必要があります。
相続財産の調査を行い、どのような財産(遺産)がどこにあるかを把握したら、その財産がいくらなのかを確認し、財産評価を行います。
相続財産を評価して、相続財産がいくらなのかがわかったら相続税を計算し、最終的に相続税が発生するかしないか、税務署に申告する必要があるか否かを把握しましょう。
相続放棄の手続きや相続税の申告は決められた期限内に行いましょう。
相続放棄や相続税申告にはそれぞれ手続きや届出までの期限が定められています。
定められた期限を過ぎてしまうと相続放棄はできなくなりますし、相続税には延滞税などのペナルティーが課せられてしまいますので注意が必要です。
相続放棄や相続税申告など期限に定めがある手続きが必要だと想定される場合には、時効期日から逆算して相続財産の調査や、相続人の調査をすみやかに済ませておく必要があります。
事実婚や内縁の配偶者って相続はできるの?
事実婚や内縁とは、結婚しているという意思のもと実質的には夫婦関係にありながら、婚姻の届出をしていない(未入籍)状態であるため、法律上の夫婦とは認められていない関係のことです。
このように、法的な婚姻関係にない配偶者には法律上の相続権がありません。
そのため、亡くなった方(被相続人)が遺言などを残していない場合には、相続財産を受け取る権利はなく、税金の優遇を受けることもできません。
事実婚や内縁のご夫婦は、法律婚のご夫婦に比べて、相続に備えてしかるべき対策を取っておく必要性が高いと言えます。
なお、すべての相続人が相続放棄するなどで法律上の相続人が存在しない場合には、最終的に相続財産は国の保有となり国庫に帰属することになります。
相続人が存在しない場合、事実婚や内縁の配偶者は「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」として、家庭裁判所に対して相続財産の分与請求を行うことができます。
特別縁故者とは、相続において被相続人に法定相続人がいない場合に、特別に相続を受ける権利が発生した人のことをいいます。
特別縁故者は、事実婚や内縁の配偶者など被相続人と生計を同じくしていた人のほかにも、被相続人の療養看護に務めた人や、法人なども対象になります。
ただし、これは国が能動的に認可するものではなく、特別縁故者として認められるには、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所から特別縁故者だと認められる必要があります。